ひびわれろぐ

いつ割れるかわからない、ひび割れそうな日々我ログ。

便利な社会は世界を狭くするかもしれないと思った話

amazonにしてもgoogleにしても、利用履歴等から興味のありそうなものを引っ張り出してくれる、便利な社会になったなあと思うのですが…。

昔の上司に言われた話

かつてハードウェアの設計をしていた頃、上司に言われた話です。
『わからない事があれば辞書で調べた方が良い』『必要なテキストや図面は印刷物で見るようにした方が俺は良いと思う』といった事を言われました。
当の上司は知識量は凄くあったし、仕事も良くできる方だったのですが、何というか片づけの出来ない方で…。

当時の私はpdfで見れるのならその方が楽でいいし、検索機能があればすぐにゴールに辿り着ける → つまりは作業の効率化が出来る、みたいな考えでいました。
昔のものは現物をスキャンしただけのものが多く、そうはいかなかったのですが、比較的新しいものはちゃんとページリンクまで準備されており、凄く扱いやすく作られていました。

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目の前の目的に辿り着くためには最短だし、それでいいと思います。
ただ、検索機能で行くと一発なのですが、検索したものしか目に入らないのです。
印刷物で見ると、目的のものを探すのにページをめくる必要がありますが、それ以外にどういったものが書かれているかがわかります。

その目的に辿り着くだけが仕事ではなかったし、同じマニュアルが必要になった時に、また同じように検索をします。
それ以外の情報を無駄と切り捨てず、ちゃんとページをめくって情報を認識した方がいい、という事を言っていました。

また、印刷物には色々な人が書き込める(はるか昔の履歴が残る)という利点がある点もいいんですよね。

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紙の無駄

『印刷物は資源の無駄』とよく言われます。
そういえば、今の会社でも『コピー枚数を極力削減するように』とのお達しが出たことがあります。
当時は経費節減ならお上の飲み代とゴルフを減らせばいいのにと思ったものです。

作業のために使用した書類も必要な分以外は、情報漏洩防止の観点からも基本的には破棄します。
正直なところ、現在の仕事も、以前の仕事も、大量の印刷物(およびミスプリント)を廃棄しています。
私自身が仕事の中で、年間で破棄した印刷物の量も馬鹿になりません。A4用紙何枚捨てたんだろう…。

やはり私は、今でもデータで見られるのならそれでもいい、と思います。

それでも最近思う事

ネットが割と何処でも(それこそ山間部とかでなければ…)見られるようになりました。
進歩に合わせて、情報も最適化されてきました。
興味がありそうなものをすぐに出してくれるようになりました。
このように情報サービスが最適化されるにつれて、私自身が『興味がありそうな話題』を拾ってきてくれるのは嬉しいのですが、これが自分の出来る事、やりたい事の『枠』を決められているように思えて仕方がないのです。
自然に目に入るものが限定されてくると、なかなか新しい情報が入ってこなくもなるんですよね…。

そんな時に当時の上司の言葉が脳裏をちらつくのです。

*それでも便利だからつい見てしまうんですけどね。

おわりに

今も昔も、割と苦労した事は結構しっかり覚えているのに、楽に終わったところは記憶から綺麗に抜けている事があります。
一生懸命調べて作ったものは覚えているのに、何も考えずに人に聞いただけの情報ってすぐに消費されてしまうような気がします。

便利なのはいい事ですが、何か引っかかったものほどその人の何処かに残るのかな…なんて思いました。